AI音声が「駅のアナウンス」になるのは、たぶんツールのせいじゃない

先週、友人がやっている町のラーメン屋の紹介動画に、ナレーションを入れることになった。手元にあった昔ながらの読み上げツールで原稿を流したら、友人がひとこと。「これ、駅のアナウンスみたいだね」。……そう、あれです。抑揚がなくて、どこまでも平坦で、感情の置き場所が分からないやつ。じゃあ、ネットで「無料で使える」と持ち上げられているAI音声は、実際どうなんだろう。疑い半分でVoxCloneというサイトを開き、録音から書き出しまで一気に通してみた。結論から言うと、けっこう前言を撤回することになった。

まず疑った。無料にろくなものはないだろう

動画を作っている人なら分かると思うけど、ナレーションって昔はお金を払って人に頼むか、自分でやるかの二択だった。喉が枯れていても録るしかない。AI音声が出てきてから、無料TTSや音声合成ツールをいくつか試したけれど、どれも同じところで転ぶ。抑揚が平坦、区切りが不自然、感情が嘘くさい。聞いた瞬間に冷める。

だからVoxCloneのトップ(https://ja.web666.cc/)を開いたときも、正直「よくある薄いラッパーツールだろう」と思っていた。登録不要で、開いた瞬間から使えて、音声クローンも無料。……登録不要の音声合成って、じゃあデータはどこに置かれるんだ? と一瞬身構えた。まあ、メールアドレスも電話番号も入れずに試せるなら、損はない。

差がつくのは、食わせる録音サンプル

音声クローンのページへ。ここで先に言っておきたい。AIが本人っぽく聞こえるかどうかは、七割くらい「どの録音を食わせたか」で決まる。

最初はリビングで録った。冷蔵庫がブーンと鳴っていて、出てきた声はなぜか缶詰みたいな響き。二回目は寝室のドアを閉めて、スマホを口から20センチくらいの位置に構え、普段の声で30秒ほど喋った。同じツールなのに、結果はまるで違う。大事なのは長さより、静かさ、明瞭さ、自然な口調の三つ。オンラインで音声クローンをやる場合、一番の敵はたいてい部屋のノイズだったりする。

あと、サンプルを録るときに「アナウンサーっぽく」やらないこと。普段友人と話すトーンで録ったほうが、出てくるのは「あなた」であって、ニュースキャスターではない。自分の声をクローンするなら、なおさら。

テキストが二つ目の落とし穴。句読点は演出家

クローンができたら、次は喋らせる番。無料のテキスト読み上げに原稿を貼ってみたけれど、最初はまたしてもあのロボット感。悪いのはツールじゃなくて僕だ。句読点のリズムがない長文は、誰が読んでも平坦になる。

そこで長い文を短く割り、止めたい場所に読点を打ち、強調したい語の前後に少し言葉を足した。同じ声なのに、二版目は誰かが隣で話しているように聞こえる。要するにTTSは句読点の通りに演技している。句読点を細かく書けば、それだけ芝居がリアルになる。

それと、文字数制限なしで使えるのも助かった。試しに2000字の長文を放り込んだけど、途中で止まらなかった。中尺の動画を作っている側からすると、ここで引っかかる無料ツールが多いので地味に効く。

で、本当に無料なのか

今のところ、書き出しで課金を求められたことも、回数制限で止められたこともない。クローンも合成もそのまま結果が出る。ただ、無料のサービスにあまりセンシティブな内容は入れない、というのは昔からの癖。ツールの問題というより、ただの作法だと思っている。

ちなみに、周りで多い使い方はオーディオブックの音声作成だったり、海外向け動画の吹き替えAIだったりする。日本語だけでなく多言語の音声合成にも対応していて、無料のまま同じ声で別の言語を喋らせられる。動画ナレーションAIとして使うなら、チャンネル全体で声が一つに揃うのが大きい。

使う前に知っておきたいこと

無料の音声クローンは、どのくらいの長さを録ればいい?

30秒から1分で足りる。長さより、静かな環境・はっきりした発音・普段の口調のほうが効く。自然に録るほど、出てくる声も自分に寄る。

クローンした声は、そのまま使っていい?

声の持ち主が自分、または許可を得た人であること。そこは自分で線を引く。書き出した音声は技術的にはそのまま使えるけれど、他人の声で誰かを困らせる用途はやめておきたい。

マイクがなくて、スマホ録音でも大丈夫?

大丈夫。静かな部屋でスマホで録ったものでも、十分聞けるレベルになった。コツは口に近づけることと、背景音を入れないこと。電車の中で録るのはやめたほうがいい……本当にそれをやった人がいるので。

で、結局どうだったのか

AI音声が人間らしいかどうかは、ツールが半分、残り半分はこっち側にある。録音をきれいに、原稿の句読点を丁寧に。ワンクリックで全編に感情が乗る、なんて期待はしないほうがいい。もし試すなら、今すぐVoxCloneで30秒の日常会話を録って、最近書いた文章を読ませてみてほしい。出てきた声を聞けば、原因がツールにあるのか自分にあるのか、たぶんすぐ分かる。他のやり方や更新は最新情報のページものぞいてみて。